整理整頓ができるようになるには、どうやってしつけをしたらいい?

現在、中2の男子と、小6の女子、小3男子の3人の子がいる母親です。
先日、中学校で面談があり、学校の先生から
「智也君は、忘れ物が多く、またノートの取り方も良くないので、
その点を家庭でも指導してください」と言われました。

中2の智也は小学校の頃から、よく忘れ物をして先生から叱られ、
家でも何度も注意していますが、まだ直りません。
石田先生の著書の中で、「整理整頓」が学力を伸ばすことにつながっている
という文面を拝読し、その通りだと感じました。
しかしどのようにしていけばいいか、わかりません。

良い方法がありましたら、ご教示ください。(仮名:長島さん)

日常から習慣化させることがポイント

子どもの頃から、きっちりと整理整頓ができるというのは、ほとんどありません。
子どもは、遊んだら遊びっぱなし、服は畳まないし、部屋の中も雑然としている
というのが一般的な特徴ですね。

しかし、いつまでもこのような状態でいつまでもいると、
やがて学校でノートをとったり、プリントが配布されたり、
翌日の学校の準備やテスト勉強をするようになると、
整理整頓ができないことが大きなデメリットになり、
一部の天才的能力を持つ子を除き、学力に多大な影響を与えるようになるのです。

勉強のときだけ、整理整頓ができるというのはなかなか難しいことです。
日常がだらしないのに、勉強のときだけ、テスト前のときだけ、
整理能力が上がるということはあり得ません。

そこで、整理整頓は日常から習慣化させる必要があるのですが、
長島さんのご質問にありますように、
「どうやって習慣化させればいいかわからない」
ということでお悩みの方は少なくないでしょう。

「習慣化は繰り返し言って、やらせるのがいいんだよ」
というのが一般的な語り口ですが、それでも習慣化されないなら、
どうしたらいいでしょう。やはりここが一番の問題ですね。

言ってすぐやるようになれば、誰も苦労しませんが、習慣化には方法があるのです。
その方法を知らないと、いつまでも苦労することになります。
次の例は、私が講演会でよくお話する「習慣化のための方法」の一例です。

習慣化するための方法-「文脈」を作る

「家に帰ってきて、子どもが靴を揃えない。そのため、毎度靴を揃えさせているが、
言わなければやらない。一体いつまで言い続ければいいのか。」という場合、
どのように対応しますか。

習慣化の問題は、場当たり的に指摘しても直りません。
そうではなくて、「文脈」を作るのです。
それは、「もう一度、靴を履かせて、玄関の外へ出て、『ただいま』からやり直し」
をさせるのです。
これが「文脈」です。

つまり何事も、その場面だけを指摘しても解決はしないのです。
その前の状態から一連の“流れ”を作って正していくと習慣化されます。

このように習慣化には「コツ」があるのです。それを知らずに、
ただ「靴を揃えなさい!!」と毎日言っても、「『靴を揃えなさい』と言われたら揃える」
という行動パターンが習慣化(皮肉にもこのパターンの習慣化が成功している)
されるだけなのです。

帰宅して、いつまでも靴を揃えない子には
「玄関の外に出て『ただいま』からもう一度やり直し」
をさせてみてください。

はじめは嫌々ながらやる子も、言われなくともやるように習慣化されていくことに
驚かれることでしょう。

行動を「自動化」させる

この「文脈」を作ることを別の例でみてみましょう。
服を畳まない子に畳むように習慣化させる場合、脱ぎっぱなしの服を親がみて、
「きちっと畳みなさい!」と言われ、畳むという行為に移りますが、
これを「文脈」を作るとこうなります。
「もう一度服を着させて、脱ぐところからやり直しをさせ、脱いだらすぐに畳む
という一連の行動をさせる」のです。

服を脱いだら、畳むというパターン化がこのようにして出来上がります。
もう一度服を着るという無駄な行為は、子どもにとっては非常に面倒くさいことです。
しっかりやらないと面倒くさいことになるということを経験させ、
そして行動に「文脈」を作ると、考えずとも行動が自動化(習慣化)されていきます。

つまり、A→B→Cという流れがあったとき、Bだけを指摘しても、駄目なのです。
Aの次にBが行われるというように無意識のうちに
行動に移ることができるようにしていくのです。
(これを難しい言葉で説明すると「部分最適」ではなく「全体最適」にするという)
このことがわかってくると、習慣化はそれほど難しくなくできるようになります。

整理整頓が学力向上につながる理由

さて、「文脈」を作ると習慣化できるという方法についてお話してきましたが、
そもそも整理整頓がなぜ学力向上につながるのかという点について触れておきましょう。

私が子どもたちを指導していて気づいた
「出来ない子に共通する3つの生活習慣(挨拶、時間を守る、整理整頓)」
というものがあります。
その中の整理整頓は、塾で指導していたときにふとしたことから気づいたのです。

ある男子生徒のカバンの中を見たときに、配布したプリント類が
無造作に入っていたのです。
しかもまとまりもなく、いわゆる〝ぐちゃぐちゃ〟な状態です。
さらにわかったことは、学校で配布されたプリントも同様に整理していない
ということだったのです。(さらにノートの取り方が汚いことは言うまでもありません)
当然、この子はテストでは点数がとれません。

テスト前は授業中に配布されたプリントがテスト勉強のための重要な資料となりますが、
一部欠けていると充分な勉強ができません。
特に男子は整理することが苦手な子が多く、女子の方がしっかりと整理し、
ノートの中身も整理されて書かれているため、一般的に
テストの点数がよい傾向になることもうなずけます。
このようなことから、生徒に整理整頓する癖をつけていきました。

手始めにまずはプリント類です。
これはファイルを渡して科目ごとにファイリングするようにしました。
またノートの取り方もまとまりのある整理整頓された内容を
毎週毎週定期的に指導しました。

このように整理整頓されると情報が構造化され、頭の中も整理されていきます。
整理されると無駄な思考がなくなり、効率的に学習ができるようになり、
テストで点数があがるという三段論法通りの結果となります。

~整理整頓が生む実生活でのメリット~1.体系化する力がつく

さて、そこでもう少し突っ込んで考えてみましょう。
整理整頓することができるようになるとどういうメリットがあるのでしょうか。
実は単に点数があがるというものだけではなく、
広い意味で次の3つの能力が開発されていくのです。

1.体系化する力がつく
例えば、パソコンのデスクトップ画面を思い出してみてください。
ファイルが無数にデスクトップに配置されている場合は、
完全に頭の中がカオス(混沌)状態に陥っています。

どこに何が配置されているかわからず、開くたびにいちいち探すという結果になり、
時間の無駄が生じます。(ただし、雑然とした中にも、本人なりに整理されており、
体系化されているという場合もある)
ファイルは大抵の場合、フォルダに格納します。

似たような種類のファイルはフォルダに格納しますが、そのフォルダ類も
さらにより上位概念のフォルダを作って格納します。

このような情報は、整理整頓されている方が、引き出しも短時間で行え、
また何よりも頭の中の構造化に役立ちます。

~整理整頓が生む実生活でのメリット~2.リズム感覚とバランス感覚がついてくる

2.リズム感覚とバランス感覚がついてくる
整理整頓された環境では、自ずと美的感覚が養成されることはよくわかります。
いつも汚いものを見ているのと、綺麗なものを見ているのとでは、
明らかにその後の感覚が変わります。

実際に、子どもたちに整理整頓の指導をした後に面白い現象が出てきました。
音楽、美術、技家、体育といった実技系の科目が伸び出したのです。
美にはリズムとバランスが入っています。

ですから美のセンスが育まれると、
自然とリズム感覚やバランス感覚が出てくるのです。
実技系の科目はまさにこのリズム感覚、バランス感覚そのものです。
非常に面白い現象です。

~整理整頓が生む実生活でのメリット~3.取捨選択の眼力がつく

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石田勝紀

◆(一社)教育デザインラボ 代表理事
◆公立大学法人 都留文科大学 国際教育学科 特任教授

1968年横浜生まれ。平成元年、20歳で起業し、学習塾を創業。
これまで3500人以上の生徒に対し、直接指導してきた。指導は、いわゆる詰め込み勉強をさせず、「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱に指導をすることで学力を引き上げる。
2003年、東京の中高一貫私立学校の常務理事として携わり、大規模な経営改革を実行し、経営改善を図るとともに教師の指導力を高める。また、横浜市教育委員会高校改革委員、文部科学省高校生留学支援金制度の座長を務め、生徒、保護者、教員を対象とした講演会、企業での研修会も多数実施している。
2015年から東洋経済オンラインで「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」を隔週連載し90回以上の長期人気連載となり累計5700万アクセスを超える。(2018/6/1時点)
2016年からは「カフェスタイル勉強会〜Mama Cafe」というママさん対象の子育て・教育勉強会を主宰し、講演会、研修会、ママカフェの活動回数は年間150回を超えている。

国際経営学修士(MBA)、教育学修士(東京大学)、東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍。

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