そろばん学習

2022/09/08

第7回「時間・期限を守ると学力は高まる!子どもの“生活習慣病”を正せ」

乱れがちな生活習慣を直すには?

はじめてお便りします。小6(男子)と中2(男子)の子どもがいる母親です。
二人とも男の子だからなのか、とてもだらしなくて困っています。
朝も起こさなければ起きませんし、学校にも遅れがちで
面談のときに先生から、遅刻についてよく話をされます。
夜はゲームばかりして夜更かしすることもたまにあります。
注意をしても言うことを聞かず、手を焼いています。
何か良い知恵はないものでしょうか。
(仮名:西山さん)

意外と知らない生活習慣と学力の関係

子どもが中学生ともなると、なかなか親の言うことを聞かなくなるのは
よくあることです。
成長期において親の言うことを聞かないという現象は極めて自然のことですが、
それにしても、あまりに生活習慣が乱れるのも困りものです。

生活習慣を正すということに関しては、家庭でしっかりとやる必要があるのですが、
その方法の前に、生活習慣が実は学力向上と関係している
ということを知っておく必要があります。

学力を高めるには、一生懸命勉強すれば良いと思われているかもしれません。
それも間違ってはいませんが、勉強すれば学力が上がる場合もあれば、
上がらない場合もあるのです。
上がらない場合、かなりの確率の高さで“子どもの生活習慣病”に原因があるのです。

成績の悪い子に共通している3つの生活習慣問題

私は20歳で塾を開設して以来、これまで多くの子どもたちと接してきました。
成績の良い子ばかりを受け入れる塾ではありませんので、
多様な成績を持つ生徒がやってきます。

よくみてみると成績の悪い子には共通して
3つの生活習慣に問題があることがわかったのです。
(ただし、成績の良い子がこれらの生活習慣が全てできるわけではありません。
逆は真なりではないのです。)

しかも、その3つの生活習慣を整えると学力が上がることもわかったのです。
その3つとは「挨拶」「時間(期限)を守る」「整理整頓」だったのです。
その中でも、特に重要なことが「時間(期限)を守る」なのです。

問題を引き起こす「遅刻癖」を改善する方法

子どもたちを指導していて、1~5分必ず遅刻する生徒がいます。
決まって、そのような生徒は成績がよくありません。
遅刻するのであれば、予め遅れることを電話で伝えれば良いのですが、
それをせずに1~5分遅刻するということは「心の怠惰」を表しているのです。

学校の遅刻常習者も定期試験や入試のような大切な予定のときは遅れませんが、
普段の登校には決まって遅れるというのも、まさに「心の怠惰」が原因となっています。

仲間どうしの遊びの約束では「いつも遅刻するやつ」と思われるぐらいで、
それほど大きな問題になりませんが、社会人であれば、
まずこのような人に仕事は任されませんし、
そのような人は仕事も出来る人でないことは、よく知られています。

また、遅刻癖のある子は、学校の提出物の期限を守らないという傾向もあります。
これはさらに深刻な問題を引き起こします。
一般に学校では提出物を期限内に出さないと5段階成績で1つ下がるのです。
テストの点数ばかりに目を奪われ、期限内に提出物を出すという地味なことに
気をかけないため、いつまでも評価されずに終わってしまうことがあります。
このような場合、決まって、「私は先生から嫌われている」
という言葉が出てきますが、これは明らかな検討違いでしょう。

このように様々な問題を引き起こす「遅刻癖」ですが、
どのようにすれば改善されるでしょうか。

一つは「時間設定、期限設定を前倒しにする」という方法があります。
つまり、8時登校であれば、7:50分登校に変えたり、
5月15日締め切りであれば、5月10日締め切りに変えたりしてしまうことです。
そうすると少なくとも他への迷惑はなくなります。

しかし、新しく設定した時間、期限には遅れるのですから、
遅刻癖は根本的には直っていませんね。

そこで、根本的に改善する方法として、これまでの経験から効果があった
3つの方法をご紹介します。

遅刻癖の改善方法①「親」の行動を見直す

保護者面談でこういうことがありました。

私「裕也君はいつも数分遅刻してくるのですが、何か理由でもあるのでしょうか。」
保護者「いえ、特に理由はありません。塾に行く前に、いつもぐずぐずしていて、
早く行きなさいと言っているのですが・・。」

私「朝、登校するときは、いかがですか。遅刻はしていませんか。」
保護者「はい。朝も遅れ気味です。」

私「失礼ながら、お母さんは、しっかりされていらっしゃいますし、
時間も守られていますよね。」
保護者「ええ。私は時間には気をつけている方だと思います。」

私「『子どもは親の言うことは聞かないが、親のすることは真似する』
といいますが、当てはまりませんね。」
保護者 「あ、そういえば主人に遅刻癖があります。子どもは父親が大好きなので、
その影響かもしれません。」

私「その可能性はありますね。」

このような会話が実際ありました。
そしてそのお母さんは、ご主人に事の次第(親のすることを真似する)を話し、
その後、ご主人の遅刻癖は改善し、子どもの遅刻癖も改善しました。
一石二鳥の面談でした。

「本当ですか?」と思われるかもしれませんが、本当です。
子どもは親の影響を受けて育つため、親の行動が改善されれば
子どもの行動も改善されるのです。

遅刻癖の改善方法②話をする

遅刻する子は、いつも親や先生からお小言を言われています。
何度も言われると、そのうち内容は伝わらず、BGMの一種として聞き流されます。
ですから、一度、子どもにとって影響力のある人から、時間の大切さについて
しっかりと話をしてもらうということが重要でしょう。

ところで、時間が大切、大切とかく言う私も、高校2年時はNHKの朝ドラを
しっかりみてから登校していたので、毎日遅刻でした。
しかし高校3年時は無遅刻となりましたが、それは信頼できる先生から
怒られるのでもなく、叱られるのでもなく、諭され、それをきっかけに改善した
という経験があります。

朝の遅刻からすべての生活リズムが狂い、いくら勉強しても学力が向上しなかった
ということもこのとき経験しました。
生徒には同じ轍を踏ませないためにも、遅刻癖のある生徒に
「日常の些細な約束事や時間を守る話」をよくしました。

遅刻癖の改善方法③責任は自分で取らせる

例えば、こういうことがあります。

小学生の子が夕方5時から習い事があるにもかかわらずいつまでも帰ってこない、
外で友達を遊んでいて遅刻しそうな場面があったとしましょう。
そのようなとき、携帯電話をもっていれば、電話をして「早く帰ってきなさい!」
と言うか、遊んでいる場所へ行き「習い事に遅れるわよ!!」と言うかの
いずれかの手段をとることでしょう。

このやり取りのモデルは、子ども側からみると
「遊んでいる→ 親が呼びに来る→習い事へ行く」となっており、
親が呼びに来ることを前提にして遊びます。
ですから、このようなとき、何も言わず、大遅刻を経験させ
本人自身に習い事の先生に謝罪させるのです。

親は、「自分のことなのだから自分で対応しなさい。」と言って、
子どもに責任を取らせるのです。
この方法は、親がどこまで我慢できるかという問題があります。

つい先回りして失敗しないようにガードをかけてしまうということがありますが
生命、身体に危険が及ぶ以外の失敗に関しては、
本人に責任を取らせることで、学びにつながり、
成長していくのだということを信じ、実行していくことも必要でしょう。

教育格差=生活習慣格差

時間を守る、期限を守ることは、たいして影響もないだろうと思う。
日常の些細な場面においてこそ、しっかり守ることが重要なのです。
そして、そのような生活習慣が、やがて子どもが成長していけばいくほど、
大きな効果を発揮します。「教育格差は生活習慣格差から生まれる!」と思っていただいてもいいかもしれません。

家庭内のご事情に応じて、できることから実行されてみて下さい。

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