受験生の親の悩み・・・

中学3年の女の子を持つ母親です。
受験生ということもあり、勉強のことで心配をする毎日です。
うちの子は比較的勉強をしているようですが、
成績は変わらず、大きな変化はありません。

本人はいきたい高校があるようで、頑張るといっていますが、
成績が上がらなければ合格は難しいと思います。
本人に聞いても、しっかりやっているからということで、
これ以上深くは入っていけません。
勉強しているのに成績が上がらないということは
どこか問題があるのでしょうか。(仮名:岩谷さん)

目的地までの道筋

保護者面談では、「うちの子、勉強しなくて困っています」
という話が約8割を占める中、
勉強しているのに成績が上がらないという質問は、
何とも贅沢な響きを感じますね。

しかし、勉強しているのに成績が上がらない、
これは何も子どもに限ったことではなく、
社会人でも資格の勉強をするときに
同じような壁に直面することがあるのではないでしょうか。
勉強をやっても、やっても上がってこないと感じることは
多くの方が経験することだと思います。

その理由は様々あるでしょうが、多くの場合、
それは勉強方法に問題があります。
勉強方法を間違えると、
いくら努力してもそれに見合った成果は決してでてきません。
やればやるだけ間違った目的地に早く着くだけです。

私も中学生のときに苦労しました。
中学1年生のとき、自分としてはかなり勉強したつもりでしたが、
成績では5が一つもとれず愕然とした記憶があります。
その後、書店で「中学生の勉強法」という本を見つけ、
「勉強にはやり方があったのだ!」と
今考えると恥ずかしくなる記憶があります。
それからは、その方法論にしたがい実行していくことで、
たちまち5が増えていきました。
私が教育事業に従事するようになって、
多くの子どもたちを出会いましたが、
その多くが勉強方法は全く知らないということにも驚いたものです。
学校では知識を教えても、
勉強方法については教えないため当然といえば当然ですが。
方法論を知っている生徒は確実に点数をとり、
そうでない生徒は、成績が3で始まり最後も3で終わるのです。
これでは学生時代はずっと成績が変わらないのも無理はありません。
方法論がわかるということは、
つまり無駄な勉強をしていないということなのです。
しかし、「自分の勉強に無駄が多いのかどうか、どうすればわかるのだ」と思われるかもしれません。

それを判断する簡単な診断法があります。
それは、楽しいか楽しくないかということです。
楽しめない、苦痛をともなう勉強法は無駄だと考えてよいでしょう。
丁度、目的地へ車で行くのに、
信号で止まりながら遠回りで走る一般道で行くか、
それとも高速道路で一直線に目的地に到着するかの違い
といってもいいでしょう。
ストレスのかかりぐらいが全く異なりますね。

無駄な勉強って??≪パターン①≫

それでは、無駄な勉強とはどのようなやり方をしているのか、
具体的にみていきましょう。

中学1年生の生徒で、性格は真面目で、
コツコツ勉強するタイプの小林君という子がいました。
さぞかし成績がいいのだろうと思われるかもしれませんが、
良くて中程度しか成績は取れていません。

彼の勉強方法を見ていると、
辞書を1ページ目から覚えるような勉強の仕方をしていました。
几帳面な性格の生徒に多いことですが、
はじめから順番に丁寧に勉強するのです。

しかし、これは勉強のできない子の典型的なやり方の一つなのです。
簡単に言ってしまえば、このやり方で勉強すると、
大半の時間は無駄なことをしていることになります。

つまりテストに出ない部分(枝葉末節のどうでもいい知識)ばかり
勉強していて肝心の部分(骨子にあたる重要部分)を
おろそかにしているのです。

テストは教科書の頻出部分の上位20%を勉強すれば
80%得点できるように作られています。

わかりやすくいうと、試験によく出る部分をランク分けし、
出る順にA、B、Cになるとします。
Aの部分を覚えると80点とれ、AとBの部分を覚えると90点とれます。
そしてCの部分まで覚えると100点になるということです。
それをBまたはCを覚えてばかりいて勉強しているつもりになっても、
点数はいつまでもとれません。

よく要領のいい子は良い点数を取るといいますが、
彼らまずAランクを覚え、そして次に時間があればBランク、
そしてさらに時間があればCランクを学習するのです。
これを世間では要領がいいと言っているのでしょう。

ではランクを見切るにはどうすればいいでしょうか。
一言で語ることは難しいのですが、
あえて言うとすれば、「要するに何を言っているのか?」
という問いに対する部分がAランクです。
それを説明するために必要な付属部分がBランク、
さらに発展的に重箱の隅をつつくような
難しく細かいことがCランクです。

樹木でいえば、科目という幹があれば大枝がAランク、
小枝がBランク、葉っぱがCランクです。
あまり重要でない葉っぱばかり覚えてもきりがないのです。
何でも、「要するにどういうこと?」という発話をしていると、
おのずと核心をつかめる習慣ができ
Aランクを見出すことができるようになります。

無駄な勉強って??≪パターン②≫

ではもう一つ、典型的な無駄な勉強例をお話します。
これは、社会人の方も直面する典型的な英語の勉強例です。

英語は英単語を覚えることは必須であり、避けて通れません。
しかしほとんどの英単語学習では間違った段階で英単語を
覚えているためにいつまでも苦痛の連続を経験することになります。

一般的な学習方法(間違ったやり方)をご紹介しましょう。
・教科書で新しいレッスンに入ったときに、英単語の意味を学びます。
・次に英文の意味と文法を学びます。
・次に単語を覚える作業に入ります。
・そして塾であればこの段階で単語テストをやります。
・その後、問題集で練習に入り、最後は英文の音読を入れます。

単語テストでは新しい単語ばかりですからそう簡単に覚えられません。
覚えるまでに苦痛を伴い、脳が積極的に受け入れません。
しかし、次のように内容を同じなのに、
学習手順に少し変えるだけで効果は全く異なります。

・教科書で新しいレッスンに入ったときに、英単語の意味を学びます。
・次に英文の意味と文法を学びます。

ここまでは同じです。しかしこの段階で英単語は覚えません。
・レッスンの教科書の音読を20回行います。
(語学はこの音読作業が必須であり、
これを勉強の初期段階で行うと必ず成績があがります。)

20回も音読していると、その過程で何回も新出単語を見ていますので、
無意識の内に新出単語が頭に入っているのです。
ですから音読作業が終了した後に単語テストをやっても苦痛を伴わず、
記憶されていくのです。

さらにその後の問題演習でも解ける量が増えていきます。
いかがでしょうか。
単語テストの順番を変えるだけで、
習得までの時間が大幅に削減できるのです。
得点する子はこのような勉強をしています。
その他の教科にもそれぞれ手順があり、
それに準じていくと短期間で成果が上がります。

お分かりのように、勉強は子どもの能力の問題ではなく、
方法論を知っているかいないかという問題なのです。
ですからわかってしまえば成績を上げることは大したことないのです。
 
コツコツ努力をしているのに報われないということは悲しいことです。
努力が報われるためにも、ある程度短期で成果がでなければなりません。しかし勉強の世界には試験というタイムリミットがあります。
ですからのんびりと「いつかは上がるさ」と構えていると
間に合わないことになります。

さらにいつまでも上がらないと
モティベーションは下がっていくでしょう。
そのためにも、核心をついた学習、
脳が自然と受け入れられる手順を知っておく必要があるでしょう。

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石田勝紀

◆(一社)教育デザインラボ 代表理事
◆公立大学法人 都留文科大学 国際教育学科 特任教授

1968年横浜生まれ。平成元年、20歳で起業し、学習塾を創業。
これまで3500人以上の生徒に対し、直接指導してきた。指導は、いわゆる詰め込み勉強をさせず、「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱に指導をすることで学力を引き上げる。
2003年、東京の中高一貫私立学校の常務理事として携わり、大規模な経営改革を実行し、経営改善を図るとともに教師の指導力を高める。また、横浜市教育委員会高校改革委員、文部科学省高校生留学支援金制度の座長を務め、生徒、保護者、教員を対象とした講演会、企業での研修会も多数実施している。
2015年から東洋経済オンラインで「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」を隔週連載し90回以上の長期人気連載となり累計5700万アクセスを超える。(2018/6/1時点)
2016年からは「カフェスタイル勉強会〜Mama Cafe」というママさん対象の子育て・教育勉強会を主宰し、講演会、研修会、ママカフェの活動回数は年間150回を超えている。

国際経営学修士(MBA)、教育学修士(東京大学)、東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍。

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