子どもとどうコミュニケーションをとったらいい?

現在、小4と中2の男の子がいる母親です。最近特に上の子があまり話したがりません。
以前は、友達のこと、学校のことを私から聞かなくても話をしてくれましたが、
今では私が何か聞いても、「ああ」「うん」程度で反応が薄く、会話になりません。
特に友人関係や勉強で悩んでいる様子もないのですが、心配です。
このようなときはどのように話をしていけばよいのでしょうか。
(仮名:古山さん)

子どもとの会話で注意すべき3つのこと

お子さんがそのような状態ですと、心配になりますね。
もしかしたら親が知らないところで、何か大きな問題があるのではないかと、
心配の種は尽きません。

それは、親としては当然のことだと思います。
しかし、一般的に次のように言われていることをご存じでしょうか。

「幼稚園や小学校に通っている頃は、その日にあったことを家でよく話します。
男の子、女の子に限らず、誰でもよく話をするのです。
ところが成長して中学2年生くらいの成長期に差しかかると、
突然話をしなくなることがあります。
家族で一緒に過ごすよりも、友達と一緒に過ごす方が楽しくなり、
学校であったことをいちいち親に報告するなんて、照れくさく、カッコ悪い
と感じるようになるのです。」

もちろん、いろいろなお子さんがいますので、
一概にこのとおりになるとは限りませんが、一般的にこのように捉えられています。

子どもは年々成長しており、今年は昨年とは異なるのです。
大人は成長が鈍化しているため、いつも同じであるような錯覚がありますが、
子どもは日々変化しているのです。

目に見える肉体的成長も、目に見えない精神的成長もいつの間にかしているものです。

古山さんのご質問にお答えすれば、
「それが普通なので、特に心配は必要ないでしょう。
話したければそのうち子どもから話をしてきます。」ということになります。

ここで、お子さんとのコミュニケーションという話がでてきましたので、
子どもさんとの会話で注意すべき3つの事についてお話しておきます。

それは「作用・反作用を知る」「承認する」「話を中断しない」です。

これは子どもが小学生でも中学生でも、年齢に関係なく非常に重要な3要素です。

コミュニケーションで大切な要素 その1「作用・反作用」

一つ目は「作用・反作用」を知ることです。「作用・反作用」とは
物理学で出てくる言葉です。
例えば上に高くジャンプしようとするとき、地面を蹴ります。
このときに、膝を曲げて強く蹴るほど、高く飛び上がれます。
つまり、地面に加えた力の分だけ、高くジャンプすることができるわけです。
このように、加えた力と同じ力が反対方向に働くことを、
「作用・反作用の法則」といいます。
この法則を、人間関係に当てはめるとどうでしょうか。

例えば、誰かから「嫌い」と反発されたら、あなたもその人のことを
同じように「嫌い」になって反発するでしょう。
反対に、自分に好意を寄せてくれる人のことは、これまで嫌いであっても、
相手を受け入れる気持ちになるのではないでしょうか。
もし「学校であったことを話しなさい!」と子どもに要求するならば、
反作用が働き、同じぐらい強い気持ちで「話さない!」という結果になります。
それよりも逆にお母さんが今日一日あったことを話してみてはいかがでしょうか。
「今日、こんなことがあったんだけどね・・・」と話しかけるのです。

最初はうるさがって聞いてくれないかもしれませんが、だんだんと子どもの方からも、
また話をしてくれるようになります。
作用を起こせば、逆向きに同じだけの反作用が生じるということを念頭に置いておくと、
どのような会話が望ましいか、わかってくることでしょう。

コミュニケーションで大切な要素 その2「承認する」

二つ目は、「承認する」ことが大切であるということです。

現代は「承認」欲求がとても多い時代です。
FacebookをはじめとしたSNSは近年盛況です。
個人の情報を気の置けない人たちとの間でやりとりしたり、
動画をアップロードしたり、ネットの世界では特に活況を呈しています。

この世界では「いいね!」を押してもらうことで情報が拡散していくことを
目的にする人もいますが、一方で「いいね!」をもらいたいという心理も働いています。
つまり他から「承認」してもらいたいという欲求が強く働いているともいえます。

マズローの欲求五段階説という有名な説があります。
基盤である生存に必要な欲求が満たされると、段階的に次々と欲求が高まり、
やがて「承認」の欲求が出てきます。今はその時代だといえます。
おしゃれなカフェでコーヒーを飲む、おしゃれなブランドのバッグを持つ、
これも他から認められたいという承認を求めた行動の一種といえます。
人間として人から認められたいという欲求は自然なのですが、
これは親子の間でのコミュニケーションにおいても重要なことです。

例えば、子どもが将来への夢を持ち、それを親に話すケースを考えみましょう。
中学生の子どもが「僕は科学者になりたい。」と言ったとします。
すると、親は即座に「何寝言言っているの!そんなこと言っていないで勉強しなさい!」
と応答することがあります。
一時的であったとしても、子どもの持った夢を否定することはよくありません。

このような応答を受けると、子どもは親との対話において「話す→否定される」
という構造が頭に出来上がってしまい、自分の夢はもちろんのこと、
日常の些細な出来事についても話さなくなる可能性があります。
夢を応援する、次々と夢が変わったとしても、
子どもの夢を否定しないという姿勢が大切です。
夢や希望は、将来にあるのではなく、目前の人に承認されることが希望なのです。
まさに親子の会話において、重要なことは、認めてあげることなのです。
承認とは「いいね!」であり、「ダメね!」ではないのです。

コミュニケーションで大切な要素 その3「話を中断しない」

そして最後は「話を中断しない」です。人と話をするときは、
よほどのことでない限り、話を中断してはいけないということです。
よくあるケースでは、話がまだ終わっていないにもかかわらず、
遮るようにして話をしてくる人がいます。

また、話をしている最中に、聞き手の注意を引く出来事(友人がやってきたり、
電話があるなど)で、話が中断されるということもありますね。
これはやむを得ないことなのですが、通常、話し手に一言断ってから、
中断することを詫びて、用事が済んだら、先ほどは失礼しましたと謝罪し、
話の続きを所望することが礼儀なのですが、それをせずに、話が尻切れトンボで
終わってしまい、話し手は、相手は自分の話を聞きたくはないのだな
と思ってしまうこともあります。

これが親子のコミュニケーションにおいて実は頻繁に起こっているのです。
また話を中断せずとも、人の話を聞かず、別のことを考えていたり、
次に自分が話すことを考えていたりすることがありますね。
集中して自分の話を聞いていないことを、話し手は気づいています。
私もそうしないよう気をつけていますが、このような対応をされると
気分がよくないだけでなく、自分の話は適当に聞かれているのではないかと、
その後の話をするのがバカバカしくなってしまいます。

子どもとの会話でも同様の事が起こりえます。

子どもが一生懸命話をしているのに、
親が上の空で聞いていたり、または別に注意が向いていて話を聞いていなかったりすると、子どもが小さいうちは、親が聞いてくれるまで何度も話をしてきますが、
やがて中学生ともなると、話をしても適当にいなされていることを感じ、
「もう話さない」という結果を生み出します。

よりよいコミュニケーションの実現のために

コミュニケーションは簡単なようでいて、難しいですが、それは話し手と聞き手
の立場が真逆であるため、話しながら聞き手の気持ちになれないからでしょう。
自分がしてもらいたいように相手にすれば良いのですが、なかなかそうはいきません。

しかし、ここでお話しました「作用・反作用」「承認する」「話を中断しない」
の3つを念頭に入れておきますと、親子の関係に良き作用をもたらすことでしょう。
コミュニケーションがうまくいっていないと感じる場合は是非実践してみてください。

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石田勝紀

◆(一社)教育デザインラボ 代表理事
◆公立大学法人 都留文科大学 国際教育学科 特任教授

1968年横浜生まれ。平成元年、20歳で起業し、学習塾を創業。
これまで3500人以上の生徒に対し、直接指導してきた。指導は、いわゆる詰め込み勉強をさせず、「心を高める」「生活習慣を整える」「考えさせる」の3つを柱に指導をすることで学力を引き上げる。
2003年、東京の中高一貫私立学校の常務理事として携わり、大規模な経営改革を実行し、経営改善を図るとともに教師の指導力を高める。また、横浜市教育委員会高校改革委員、文部科学省高校生留学支援金制度の座長を務め、生徒、保護者、教員を対象とした講演会、企業での研修会も多数実施している。
2015年から東洋経済オンラインで「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」を隔週連載し90回以上の長期人気連載となり累計5700万アクセスを超える。(2018/6/1時点)
2016年からは「カフェスタイル勉強会〜Mama Cafe」というママさん対象の子育て・教育勉強会を主宰し、講演会、研修会、ママカフェの活動回数は年間150回を超えている。

国際経営学修士(MBA)、教育学修士(東京大学)、東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍。

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