教育・子育て

2022/09/05

今だから知っておきたい「ゆとり教育」と「詰め込み教育」の違い !

教育現場でたびたび聞かれる「ゆとり教育」と「詰め込み教育」という2つの言葉。どちらも子どもの能力を伸ばすのに有用な方法ですが、違いはどこにあるのでしょうか。また、どちらがよいといえるのでしょうか。

ゆとり教育という方針が打ち出されたのは、2002年施行の学習指導要領です。
この教育を受けた世代は「ゆとり世代」ともいわれています。

それまでの教育はいかによい大学に入る学力をつけるかに重点が置かれる、いわゆる「詰め込み教育」でした。これに対し、ゆとり教育が目指したのは自ら考える力をつけること。ただ勉強に追われるのではなく、ゆとりのある時間の中でさまざまな経験をして生きる力を身につけてほしいという願いが込められていました。

具体的には、次のようなことが変更されています。
・土曜休みの週休5日制
・総合的学習(教科にしばられない授業)の時間が増加
・円周率は3.14を使うが、およその数で使う場合は3とする
・台形の面積公式は使わず、三角形を使って解く
・中学英語の学習単語数を100減らして900とする

◎メリット
・休みが増えて習い事など好きなことに時間が使える
・基本的な学習に集中できる
・ゆっくり考える時間ができる

◎デメリット
・遊ぶ時間が増えるだけで、時間を有効に使えるとは限らない
・暗記など学習能力を磨く機会が少なくなる
・管理能力を鍛えにくい

詰め込み教育とは?そのメリットとデメリット

詰め込み教育とは、知識を頭に詰め込むことに重点を置いた教育です。日本では長らく詰め込み教育がメインで、受験競争などを激化させてきました。

◎メリット
・暗記し知識を蓄えることで、さまざまな判断ができる素地を作れる
・歴史や語学など暗記が基礎学力をつける科目もある
・反復するという学習に必要な能力を磨くことができる

◎デメリット
・知識の有無で成績が決まってしまう
・暗記が中心なので飽きやすく、勉強に対するモチベーションが維持しにくい
・覚えたことの応用がききにくい

では、どっちがよい?

◎PISAから見た優位性
2002年にゆとり教育が行われた後、PISA(国際学力テスト)の順位が下がったことをきっかけに、ゆとり教育が批判されました。これを受けて、文部科学省は2008年に新学習指導要領を作成、「脱・ゆとり」へと方向転換します。結果、2012年の調査では順位が再び上がります(数学的リテラシー:9位→7位、読解力:8位→4位、科学的リテラシー:5位→4位)。これに対しては、脱・ゆとりが功を奏したと評価されています。

◎社会へ出て生きていける力が大事
自分で目標を決め、計画を立て、周りの協力を得ながら問題解決していき、ゴールにたどり着く。
そんなふうに自立した子どもを作るのが教育の本質で、それができるならどちらの方法でもよいのではないかと思います。
ゆとり教育については否定的な意見が多いですが、目指した方向性は間違っていなかったと思います。ただ、教育現場に混乱もあり、思ったような活用ができなかったのではないでしょうか。
PISAの結果だけで脱・ゆとりという方向性になってしまったのは残念なことです。

まとめ

どちらにも良い点、悪い点があり、善し悪しは一概には判断できません。いずれにせよ、ゆとり教育が目指したゴールは正当なもので、改めて教育の本質を考えるきっかけになったといえます。
そしてそれは、そろばんなどの習い事でも十分に実現できます。教育の機会は学校の外にもたくさんありますから、真のゆとり教育を行えるところを探してみてはいかがでしょうか。

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